ドッグフェイム 愛犬の健康と長寿を目指して、犬のしつけやお手入れ・病気・健康管理・食餌について
犬飼いのベテランさんも、初心者さんも、一緒に勉強してみませんか?
ホーム ドッグフェイム商品案内 犬の勉強室 会社案内 お問い合わせ
 ホーム > 犬についての勉強室 > 健康管理 > 「ホリスティック」という考え方
犬についての勉強室トップへ
犬を飼う前に
仔犬育て奮闘記
犬のしつけと行動学
犬に関する豆知識
皮膚病関連
歯科関連
感染症関連
シャンプーについて
お手入れ
健康管理
ドッグマッサージ
食べてはダメなもの
犬の食餌と栄養
健康管理
「ホリスティック」という考え方
「ホリスティックケア」という言葉が広がってきていますが、何となくその言葉だけが流行して一人歩きをしている気がする今日この頃です。 「ホリスティックです!」と言っているサイトを見ても「う〜ん・・・。そうじゃないんだけどなぁ。それは『ホリスティック』ではないんだけどなぁ。」と思うことも多々あります。

例えば、「皮膚トラブルにはこのサプリメントを!」とか「このツボを!」とか「このアロマを!」とか「このハーブを!」とか「このバッチフラワーレメディを!」とか、そういうのは「自然療法(ナチュラルケア)であり代替医療ではあるけれども、ただ単に薬の代わりサプリやハーブを使う、ということであればそれは「ホリスティック」ではないんです。

なぜかというのは後半においておくとして。

ここ半年、通信&通学で中国伝統医学(私たちが普段『東洋医学』と呼んでいるものですが、ここでは「中医学」で呼び方を統一します)を勉強してきて、本当の『ホリスティック』とはどういうことなのか、ということを改めて学びました。というのも、中医学は『ホリスティック医療』そのものだからです。

「中医学をもっと本格的に学びたい」と思ったのは、去年の暮れに文太が難治性角膜潰瘍になり、病院で(現代獣医学では)「手術でしか治らない」と言われたことが発端です。(一時は手術をすることにしましたが、手術当日大変なことになり、結局それ以来手術は断念しました。)

多少なりともツボや経絡の知識があった私としては、中医学的に考えれば角膜潰瘍というのは単なる『症状』であり、目そのものが問題なのではなく、根本的に体のどこかにバランスの崩れているところがあって、そこの気血(体の中をめぐる生命のエネルギー)が滞っているから自然治癒力が働かないのであり、そこを調節してあげれば手術しなくても目は体が治してくれるはずだ、と考えたのです。

そして、なんとかしてその原因をつきとめたい、たとえ獣医さんが治せなくても私が絶対に治してやる!と。(と言っても、結局は本格的に授業が始まる前に文太の目は治ってしまったんですがっ。(笑)

どうしても中医学でなければならなかったわけではないんですが、同じホリスティックケアにしてもホメオパシーやインドのアーユルヴェーダなどは、私にとってはほとんどなじみがないので、一から勉強するにはゴールが遠すぎるし、犬へのアロマは素人が手を出すのは危険だと考えているので端からやつもりはないし、いろんなものをつまみ食い的に勉強するのではなく、何でもいいから何かひとつを本格的に基礎からしっかり学びたい、と思っていました。

そう考えたときに、中医学なら日本人には一番なじみがあるし、昔からツボマッサージが好きだったので、超文系人間の私にもまだ理解できやすいかも、と中医学を選びました。(実際はすごく面白くて興味深かった反面、思ったよりずっと難しくて、毎週の課題提出等かなぁーーーり苦労したんですがっ。)

中医学の根本的な概念に「統一体観」という考え方があります。それにはふたつの内容があり、ひとつめは「人体の各臓器、器官はひとつひとつ独立しているわけではなく、お互い支えあい影響しあって人体はひとつの有機的な物体となっている」というもので、もうひとつは「人間は自然界に生存しているため、自然界の影響を常に受けており、人体は自然界と一体である」という考え方です。

また、中医学の病気の考え方には 「本(ほん=病気の根本的な原因など本質的なもの)」 と 「標(ひょう=外側に現れた症状など)」 があり、治療には 「治病求本(ちびょうきゅうほん)」 、つまり 「病気を治すには症状を抑えるのではなく、根本的な原因を治療しなければならない」 という大原則があります。

例えば、寒邪(かんじゃ=寒の邪気)が体内に入って悪寒発熱が起きた場合(いわゆるカゼの状態ですね)、寒邪が「本」であり、悪寒発熱が「標」ということになります。

「本」は寒邪なので、寒邪を体外へ追い出すことが根本的な治療(「本治」)であり、風邪薬や解熱剤などでとりあえず発熱を抑えるのは「標治」と言って根本的な治療ではありません。

なぜなら、発熱(標)を抑えても寒邪(本)がまだ体内にいるので、薬が切れればまた熱が出るし、体の中に長く留まることによって何かしら悪影響を及ぼす(さらに別の病気を引き起こしたり、病気を長引かせたりする)からです。

(ただし、「急なれば標を治す」という原則もあり、あまりにも発熱がひどくて致命的な場合などは、とにかく先に熱を下げ(標治)、その後に本を治すという臨機応変の法則もあります。)

ま、実際は病気の原因はこんなに簡単なわけではなく、もっといろんなことが複雑に絡んでいるので判断も治療も難しいのですが、(だからこそ本場中国には中医学専門の大学があり、中医師として治療にあたるためにはもちろん中医師の国家資格を持っていなければならないし、一般的な西洋医学の知識も必要です)、前述の 「統一体観」 がまさしく 『ホリスティック』 な考え方であり、 「治病求本」 こそが 『ホリスティック医療』 なんです。

で、冒頭の「皮膚トラブルにはこのサプリメントを!」という話に戻りますが、これが何故「ホリスティック」ではないのでしょう?

はい、もうおわかりですね。「皮膚トラブル」というのは単なる症状「標」であり、それに着目し、症状を軽減しようするのは「標治」であって「本治(根本的な治療)」ではないんです。

本治のためには「なぜブツブツができるのか」「なぜ被毛にツヤがないのか」「なぜフケが出るのか」という根本の原因を突き止める必要があります。繰り返す皮膚トラブルの原因が皮膚にあるとは限らず、むしろもっと奥深いところにあることの方が多いと思います。

そこを探り、根本的な原因を治療するのが「ホリスティック医療」であり、普段から心と体の全体を整えて病気を予防しようというのが「ホリスティックケア」なんです。

頭痛にはコレ!便秘にはコレ!という症状だけにしか着目しないケアは、西洋医学となんらその考え方には変わりないし(しかも、薬でもないものに「○○には△△が効く!」とか言っちゃうのは薬事法違反です)、本当の意味の治療にはなりません。

誤解のないように申し上げておきますが、「サプリやハーブはホリスティックケアではない」ということではないんです。あくまでも「症状にしか注目していない」のが「ホリスティックではない」ということであり、例えば皮膚トラブルの原因が腎臓にあるとわかったから、腎機能を高めるハーブを使おう、とかいうことであればそれは立派なホリスティックケアだと言えるでしょう。

西洋医学は患部だけに着目し、検査でウイルスやら細菌やら白血球やらを調べて原因を探る「ミクロの世界」ですが、体の異常は、その患部だけを見ていてはわからないこともあります。

中医学は体全体を診察し、根本的な原因はどこなのか、ということをつきとめる「マクロの世界」なんです。そして、「ホリスティックケア=ナチュラルケア」なのではなく、「ホリスティックケア=マクロケア」だと思っています。
(関連記事: ホリスティックケアについて
(フレンチブルドッグ文太部長のロハスな毎日 2010年7月24日の記事より加筆修正)