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人獣共通感染症(ズーノーシス)について
「ペットとキスをしてはいけない」ということを聞かれたことのある方も多いと思います。なぜなら、ペットである動物が感染源となって「人獣共通感染症(ズーノーシス)」になる可能性があるからです。

<人獣共通感染症(ズーノーシス)とは>

簡単に言うと人も動物も共通してかかる病気の総称で、もちろん犬や猫だけでなく、タヌキやイノシシ、牛や豚などの他の哺乳類や鳥類などの動物も含まれ、狂犬病や鳥インフルエンザ、BSEなどもそれにあたります。厚生労働省検疫所の『動物由来感染症を知っていますか?』というサイトによると、世界的には現在確認されているだけで300種類ほどが存在し、そのうち日本にはには数10〜100くらいがあると思われるそうです。

中でも問題なのが、その菌やウイルス等の病原体を体内に持っていてもその動物には何の症状も出ないのに、人に感染して発症すると深刻な症状が現れるというものが少なくないのです。


<病原体の種類>
 ・細菌/真菌(Q熱、パスツレラ症、猫ひっかき病、レプトスピラ症、皮膚糸状菌症など)
 ・ウイルス(狂犬病など)
 ・寄生虫(犬・猫回虫症、エキノコックス症など)


<感染経路>
 ・経口感染(舐められたりすることにより病原体が口から入る)
 ・経皮感染(皮膚の傷口から入る)
 ・接触感染(抱っこやなでたりすることにより感染)
 ・空気感染(セキやくしゃみなどで空気中に飛び散って微粒子となり体内に侵入)
 ・媒介昆虫感染(蚊やダニなどの昆虫が病原体を媒介する)
 ・咬傷感染(咬まれたりひっかかれた傷口から感染)


<犬や猫から人にうつる主な病気>
●パスツレラ症
【病原体の種類】 パスツレラ菌(イヌの約75%、ネコのほぼ100%が口腔内常在菌として保有)
【症状(犬・猫)】 ほとんど無症状
【症状(人)】 呼吸器系では風邪のような症状から肺炎まで様々。咬まれたりひっかかれたりして感染した場合は炎症を起こしたり化膿したりする。死亡例もあり。
【感染経路】 経口感染、経皮感染、咬傷感染

●Q熱(コクシエラ症)
【病原体の種類】 コクシエラ菌
【症状(犬・猫)】 ほとんど無症状
【症状(人)】  急性の場合は発熱や頭痛、倦怠感などのインフルエンザのような症状。慢性の場合は慢性肝炎、心筋炎、心内膜炎などを起こす。海外では死亡例もあり。
【感染経路】 経口感染、空気感染

●猫引っかき病
【病原体の種類】 バルトネラ菌(猫にひっかかれたり、ノミに刺されたりして感染)
【症状(犬・猫)】 ほとんど無症状
【症状(人)】 数日から2週間ほどの潜伏期間の後、発熱やリンパ腺が腫れたりする。
【感染経路】 咬傷感染、媒介昆虫感染

●レプトスピラ症
【病原体の種類】 スピロヘータ(細菌)
【症状(犬・猫)】 歯茎や体のあちこちに出血や黄疸が出たり血便がみられる「黄疸出血型」と高熱・下痢・嘔吐が起きる「カニコーラ型」がある。(ワクチン接種により予防可能)
【症状(人)】 菌の種類によっては無症状。急性症状が出ると発熱や嘔吐、腎不全を起こし、対処が遅れると死に至ることもある。
【感染経路】 経口感染、経皮感染

●皮膚糸状菌症 
【病原体の種類】 皮膚糸状菌(カビ)
【症状(犬・猫)】  円形に脱毛したり、カサカサしたフケが出る。痒みはほとんどないが、治ったように見えても長期にわたって保菌状態となることもある。
【症状(人)】 赤くなったり炎症により水ぶくれができたりする
【感染経路】 接触感染

●狂犬病
【病原体の種類】 狂犬病ウィルス
【症状(犬・猫)】 10日〜6ヶ月の潜伏状態のあと、発症すると何にでも過剰反応を示して噛み付いたりする興奮状態になり、痙攣発作が起きて死亡する。
【症状(人)】 発症すると頭痛発熱などの症状の後、咬傷部分が痛み、幻覚症状や麻痺、水を恐がる恐水病になりほぼ100%死に至る。
【感染経路】 咬傷感染

●犬・猫回虫症
【病原体の種類】 犬回虫・猫回虫 (感染した犬や猫の便に含まれる虫卵を、口に入れてしまうことで感染。)
【症状(犬・猫)】 ほとんど無症状。ただし仔犬の場合は食欲不振、発育不良、下痢や嘔吐などを起こす。
【症状(人)】 発熱、倦怠感、食欲不振、回虫が移動して目に入った場合は網膜剥離などの目の病気を発症し失明することも。
【感染経路】 経口感染

●エキノコックス症
【病原体の種類】 多包条虫(エキノコックス)
感染したキツネや犬が多量の虫卵をフンとともに排泄し、そのフンを野ネズミが食べ、その野ネズミを犬やキツネが食べて感染が拡大する。日本では北海道だけに存在するものと考えられてきたが最近本州でも感染が確認されるようになってきた。
【症状(犬)】ほとんど無症状。
【症状(人)】 感染しても5年から10年は無症状だが、年月を経るにつれ肝臓内の胆管や血管が塞がれ、肝機能障害が進む。放置すると90%が死に至る。
【感染経路】 経口感染


<予防法>
必要以上に神経質になることはないと思いますが、やはり口同士のキスや口移しで食べ物を与えたり、飼い主と同じ箸やスプーンで食べ物をあげたりすることは避けた方が無難です。特に飼い主が疲れていたり寝不足だったりして体力と抵抗力が落ちているときは要注意です。また、散歩から帰ってきたらブラッシングをしたり体を拭くなどお手入れをしっかりして常に清潔さを保つことも大切ですし、飼い主もブラッシングやトイレの後始末をした後などは必ず手を洗って除菌をすることも重要です。

上記の病気の犬の症状をご覧いただければおわかりいただけるかと思いますが、犬が感染してもほとんど何の症状もみられないものがたくさんあります。ということは、元気に見えても体の中には何らかの菌を保有していることも充分に考えられるのです。特にパスツレラ症は健康な犬でも4匹中3匹が持っていると思われる菌です。

たとえば、毎日口と口でキスをすることにより唾液を通じて犬の体に潜んでいた病原菌が飼い主にうつって感染症を発症したとします。犬の体にいた病原菌が原因となったのなら、例えその病気が完治するまでの間であったとしてももしかしたら一時的にでも犬に触ってはいけない、なんてことになるかもしれません。それだけで済めばいいですが、もしかしたらその感染症のせいで愛犬を手放さなくてはならない、なんてことがあったら?・・・と、そんな可能性は低いのかもしれませんが、ゼロではないと思います。

さらに、飼い主が保菌者であることに気づかず公共の場に出て他の人たちに病気を広めてしまう、なんていうこともあり得ます。犬を飼う飼い主としての社会的責任は重大です。『親バカ』は許されても『バカ親』であってはならないと常々思っています。

私ももちろん文太のことを「汚い」と思ったことは一度もありませんし、気持ちとしてはディープキスも平気だし同じ食器で食べたりすることも全く気にしません。

でも、そこはやはり人と犬。どんなに愛していても違う生き物なのです。体の構造が違うからこそ超えてはならない一線、愛情があればこそ守らなければならないことがある、と思っています。


*参考資料
●厚生労働省検疫所『動物由来感染症を知っていますか?』
●独立行政法人 農業・食品産業技術総合健康機構 動物衛生研究所
●国立感染研究所 感染症情報センター
●社団法人日本獣医学会
●WHO(世界保健機関)
●愛玩動物飼養管理士教本
(フレンチブルドッグ文太部長のロハスな毎日 2008年1月13日の記事より加筆修正)