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繁殖させない10の理由
文太は去勢をしていません。でも、繁殖をさせるつもりは一切ありません。(子供を作るつもりがないにも関わらず去勢をしていない理由については『文太を去勢させていない理由』をご参照ください。) 文太の子供を作らない主な理由は下記です。

1.関節が緩い

2.スタンダードでない
3.文太が望んでいない
4. 子犬の家族を見つけるのが大変
5.勉強が大変
6.相談できるよきブリーダーを知らない
7.相手の♀犬に命の危険を負わす
8.両親以上の遺伝子検査不可
9.自分が増やさないことが不幸な犬を増やさないことの第一歩
10.どうしても文太の遺伝子を遺さなければならない理由がない


1. 関節が緩い

文太は右側の股関節が緩く(股関節形成不全)、膝関節も少し緩めです。どちらも現時点では日常生活に支障があるほどのひどいものではありませんが(これ以上ひどくならないように充分なケアもしています)、これらの疾患はかなりの確率で遺伝します。大切な文太の血を引く子供に、生まれながらに遺伝疾患を負わせて苦しめるわけにはいきません。

健康な親からも何らかの先天的疾患を持つ子供が生まれることもあります。ましてや、遺伝疾患を持つ犬からはそのリスクは一段と高まります。生まれながらにして過酷な運命を背負わせて、一生苦しめることになるのです。

最近はペットショップでも先天的疾患のある仔犬を平気で売っていますが、私は「生まれた犬には罪はない」という言葉が大嫌いです。もちろん、犬には罪はありません。でも、その綺麗で慈愛に満ちた言葉の裏には「生ませた人間には罪がある」という事実が隠されるからです。

フレンチブルドッグは皮膚が弱くて当たり前、呼吸疾患や関節疾患があって当たり前、というのは根本的に間違っているのです。


2. スタンダードではない

文太はフレンチブルドッグにしては胴も足も長めです。下顎もしゃくれすぎています。常に歯や舌が見えるのは、フレンチのスタンダードでは「失格」もしくは「重大欠点」とされています。「スタンダード」とはほど遠い体型です。

私にとってはそれらの文太の特徴は「失格」などではなく、チャームポイントです。どんなに立派な体格のチャンピオン犬より、うちに来てくれたのが文太で良かったと心から思っています。文太の容貌も性格も、全部ひっくるめて文太のまんまを愛しています。

でも、それと「子孫を残す」ことは全く別の話なんです。

自然界では強い者しか生き残れません。弱い者は親にはなれないし、弱い子供たちは淘汰されます。彼らは自然に任せているのではありません。「命の選択」を本能的に行っているのです。私たち人間やペットとして飼われる動物よりも、もっとシビアで過酷な選択を自らに課しているのです。

「自分の血」を残すためではなく、「その種全体」として生き残るために。
そして、自然界のバランスを保つために。

フレンチブルドッグなどの「純血種」と呼ばれる犬は、もともとは人間が人為的に作り出した犬種です。それを作り出したことが道徳的に良いか悪いかはひとまずおいといて、その種を残していくにも人間の手で管理が必要です。

何でもかんでも子孫を残せばいいというわけではなく、健康で元気な子を残すのは人間の使命であり、それはブリーダーだけではなく、繁殖を考える一般の飼い主にも課せられる責任ではないでしょうか。

「かわいい『うちの子』の子供を見たい」と、体型や遺伝疾患を省みずに繁殖し、その結果遺伝疾患を抱えた犬が増えればその種がどんどん弱くなるし、スタンダードからかけ離れた犬の子孫を残せばその犬種らしい体系の犬がどんどん減り、いずれは「絶滅」させてしまうことにはならないでしょうか。


3.文太が望んでいない

文太は「結婚して自分の家庭を築きたい、自分の子供がほしい」などとは思っていません。
文太の望みはただひとつ。一生涯、私にかわいがられることです。


4. 子犬の家族を見つけるのが大変

もしも文太の子供が生まれたら。きっとかわいすぎて手放せなくなると思う。誰かに譲るとしても、その子達が一生幸せに暮らせるように、姑のようにあれこれうるさく口出ししてしまうと思う。文太の血を引く大切な仔犬をペットショップに売るなんて、言語道断。

本当に大切にしてくれる家庭を探すのは大変だし、かと言って貰い手が見つからない場合、全ての犬を引き取ることは現実問題、時間的にも経済的にも不可能です。

たくさんいればいるほど楽しいと思う。でも、1匹1匹、毎日本当にきちんと心も体もケアしてあげようと思えば、3匹ぐらいが限界です。


5.勉強が大変
6.相談できるよきブリーダーを知らない

犬の繁殖は決して簡単なものではありません。
ただ単にオスとメスを交配させるだけではないのです。

自分の犬に子供を産ませたいと思うのなら、妊娠・出産、育児について、何かあっても多少のことはうろたえずに対処できるぐらいの知識は事前に持つべきだし、それでも出産や育児などの緊急事態、自分の手に負えないことが起きた場合、夜中でもたたき起こして指示を仰ぐことができるぐらいの信頼関係ができている経験豊富なブリーダーさんや獣医さんを見つけておくべきです。

大切な愛犬と、その子供たちの命がかかっています。何かあってから慌ててインターネットの掲示板で、匿名の素人相手に聞いているようでは遅いのです!(「自分の犬を出産させたことがある」というだけの人は、経験者かもしれないけどプロではない、素人です。)

犬を安く買いたい?」という記事で、繁殖に最低限必要なことをあげてみました。そして、そんな繁殖のための事前勉強に時間を費やすのなら、私はこれから文太がもっと元気で健康でいられるための勉強に心血を注ぎます。


7.相手の♀犬に命の危険を負わす
犬の出産は決して安全なものではありません。命がけで子供を生むのです。

ただ単に「文太の子供がほしい!」というだけの理由で、自分の犬ではない母犬に命の危険を負わせるわけにはいきませんし、何かあったときに責任も持てません。


8.両親以上の遺伝子検査不可

繁殖に使われる犬は、健康で遺伝疾患がないことが最低条件です。それは、「動物病院で健康診断の結果、問題なかった」というレベルの話ではなく、遺伝子レベルでの話です。

なぜ遺伝子レベルでの検査が必要かというと、遺伝には優性遺伝(両親どちらかにあれば現れる遺伝)と劣性遺伝(両親ともにあるとき現れる遺伝)があり、劣性遺伝を持っている場合は直接その犬には遺伝疾患が現れなくても、「キャリア」として次の世代に疾患を受け渡してしまうからです。

ほとんどの獣医さんは繁殖についての詳しい知識はお持ちではありませんし、犬種的に繁殖に向いているかどうかの判断はできません。健康診断の結果、獣医さんに「大丈夫」と言われたとしても、それは「とりあえず、出産には堪えられる体でしょう」という程度の話です。

犬を安く買いたい?」で、犬の繁殖に必要な項目として「3代先祖(曽祖父母)まで遡っての遺伝子検査」をあげました。両親犬の検査では反映されない遺伝子疾患が隠れている可能性があるからです。

文太はブリーダーさんから直接譲り受けたわけではないので、曾祖父母までの遺伝子検査の結果を知ることは不可能です。だから、たとえ関節の問題がなかったとしても、もともと繁殖のつもりはないんです。


9.自分が増やさないことが不幸な犬を増やさないことの第一歩

毎年繰り返される犬や猫の殺処分。「安楽死」などではない、二酸化炭素でもがき苦しむ窒息死。

これだけ世の中に不幸になる犬が溢れている中、「かわいそう!助けてあげられなくてごめん。」と涙を流す一方で、「でも、自分の犬の子供はほしい!」と、安易に自らが増やすことの意味が、私にはわかりません。

不幸な犬を根本的になくすためには、「明日なくなる命を救う」だけでは無理です。私は、捨てられる子を救うよりも、捨てられる子をなくしたい、と常日頃考えています。蛇口からあふれ出る水はバケツがいくつあっても足りないけれど、蛇口をひねって元栓を締めればバケツはいらなくなるんです。

そのためにはどうすればいいのか、まだ答えは出ていないし、今はこうして犬を捨てないように、増やさないように、啓蒙活動をするぐらいしかできないけれど、ずっと考え続けています。

そして「文太の子供を作らない」、これも今の私にできる、小さいけれど大切な第一歩だと考えています。


10.どうしても文太の遺伝子を遺さなければならない理由がない

今の私にとって文太は世界一大切だし、世の中で一番かわいいです。でも、救助犬や介助犬になれる能力もなければ、後世に残すべき特別優れた能力があるわけでもありません。

性格も大きく遺伝します。怖がりで神経質な文太。過剰に甘えん坊な文太。訓練でずいぶん改善されたとは言え、まだまだ器の小さい文太。私にとってはそんな文太がかわいくてしょうがないけれど、それが犬として遺すべき気質かと言われれば疑問符がつきます。

冷たいことを言うようですが、自分という小さな世界だけでなく、フレンチブルドッグという犬種全体、犬と人間の社会全体を考えてみたとき、私の個人的な感情と、エゴを差し引けば、文太の遺伝子を遺さなければならない理由は何一つありません。

それに、もし私がどうしても愛する文太の血を引く犬を遺したいと願い、たとえ文太の血を引き継いだ子が生まれたとしても、それは「文太」ではありません。別の犬格を持った、別の犬なんです。

別の固体である限り、「文太の分身」としてではなく、別の個性として認め、愛してあげるべきです。「誰かの代わり」に愛されるなんて、寂しいじゃないですか。

今は文太が世の中で一番大切です。でも、以前実家で飼っていた大輔やしし丸も心から大切に思っていました。猫のミユだって、私にとっては何物にも代え難い、特別な存在でした。

お友達のノンタンだって、公園のニャンコちゃんだって、同じようにかわいいし、次に自分の家族になる犬は、たとえ文太の血を引いた子供でなくても、その子はまた別の犬格として世の中で一番大切に思える自信があります。

だから、私には文太の血にこだわる必要が何一つないんです。そして、文太の血を遺さないという考えに一点の曇りもなければ、一切の後悔もありません。

文太は文太として一代限り、全力で一生涯大切にする。
それが私の文太への愛情です。


私の意見に賛成できない方がいらっしゃるのも承知しております。不快な思いをされる方もいらっしゃるでしょう。それでもいいのです。私は自分の意見に賛同してほしいのではありません。「子供を産ませたい」と願う気持ちを責めているわけでもありません。

ただ、知ってほしいのです。そして、よく考えてほしいのです。「かわいい『うちの子』の子供が見たい」と盲目的に突き進んでしまうその前に、少し立ち止まって冷静になって考える時間を設けてほしいのです。

犬を愛し、フレンチブルドッグ愛するひとりとして、
全ての犬の幸せと健康を願って。
(フレンチブルドッグ文太部長のロハスな毎日 2010年7月17日の記事より加筆修正)
   
   
 
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