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抗生物質とは?

9月23日 土曜日

今日は抗生物質のお話です。またまた長くなっちゃってすいません・・・。

<抗生物質の歴史>

抗生物質とは、簡単に言うと細菌が増殖するのを抑えたり、細菌を殺したりする薬です。(ウイルスには全く効果はありません。)そして、その正体は「微生物」です。今から約80年前、1929年にイギリス人の細菌学者のフレミング博士が偶然発見したのが始まりです。フレミング博士は当時病原菌のひとつであるブドウ球菌を増やす研究をしていました。そこに、ある一画だけ菌が増えていないところを見つけたので何故そこだけ増えていないのかを観察したところ、そこの部分にはアオカビが生えていることがわかりました。それをきっかけにアオカビにはブドウ球菌を増殖させない成分があることを発見したのです。それから研究が進み、アオカビから世界初の抗生物質であるペニシリンが作られるようになりました。さらに研究がすすみ、現在ではいろんな菌に対抗できる抗生物質ができたのです。そして、いろんな抗生物質によりそれまでは不治の病とされていた伝染病の脅威から逃れることができ、平均寿命が飛躍的に延びたと言います。

<抗生物質の働き>

では、抗生物質は人体及び動物の体には害がないのでしょうか?答えは「動物の体にはほとんど害はない」です。もちろん、体質によっては抗生物質自体にアレルギー反応を起こす場合もありますが、抗生物質は動物の体を傷つけることなく体に入った細菌だけを殺すことができます。

何故そんなことが可能なのでしょうか?それは動物と細菌の細胞の違いによるものです。動物の細胞と細菌の細胞の違いは何かというと、「細胞壁」があるかないかです。(はい、ここで「細胞壁」という言葉に拒絶感を覚えた人、安心してください。私と同じですから・笑。)まぁ、要するに何かというと細胞という「家」があって家の周りに細胞壁という「塀」があるかないかの違いだと思ってください。細菌一族の邸宅は頑丈な塀で覆われています。なぜかというと、細菌一族の家は「砂のお城」なので、とてももろくて塀がないと風雨にさらされて崩れてしまうのです。それにひきかえブヒ一族の邸宅はとても頑丈なレンガ作りの家なので塀がなくても平気なのです。

で、抗生さんの仕事はというと「塀壊し(細菌を殺すこと)」及び「塀作りの邪魔をする(細菌の増殖を防ぐ)こと」なのです。家は壊さず塀だけを狙って壊します。また、塀を作ろうとしているのを阻害し、結果的に細菌一族が家を建てることを邪魔するのです。それはそれは見事な匠の技です。塀があるお家は細菌一族だけなので、必然的に標的は細菌一族のみとなり、塀を壊された細菌一族は結果的に家まで総崩れ、塀を作って新しい家を建てることも邪魔されますので、住むところがなくなって死んでしまうのです。ブヒ一族は家を壊されることもないので、被害はゼロで悠々自適の生活が送れるというわけです。抗生物質の働きをわかりやすく説明するとこんな感じです。

<細菌の反撃>

なるほど、素晴らしい効果ですね〜。でも、この話はこれだけでは終わらないのです。第2章、「細菌一族の反撃」の始まりです。細菌一族もなかなかタフなのです。一族の生き残りをかけて反撃に出ます。家をことごとく壊された細菌一族ですが、奇跡的に家全壊を免れた一家がおりました。そこで、生き残り組みは「壊されなかった塀」をお手本に再起をかけて復活しました。前回建てた塀よりもより頑丈なものです。そこへまたまた抗生さんがお仕事にやってきました。前回と同じ塀壊しドリルを使いますが、進化した細菌一族の塀は壊れません。「むむっ。おぬしもなかなかやるなっ。」と抗生さんが取り出したのが前回よりパワーアップした「ニュー・ドリル」です。またまた細菌一族は自滅・・・でもまた生き残りがおり、さらに「象がのっても壊れない物置」並みの塀を作ります。が、抗生さんも負けてはおられません。「ニュー・ドリル・スーパー」で対抗し、見事に塀を壊します。さすがに匠の技です。でも、細菌一族も負けてはおりません、更に頑丈な塀を・・・そして抗生さんは更に強力なダイナマイトを使用し・・・今度は細菌一族が・・・・・

戦いはお互いパワーアップし、エンドレスで続くのです。まるで「ドラゴンボール」が初めは天下一武道会という純粋に武道の技を競う大会だったのに、勝っていくにしたがってどんどん強い敵が現れて「ドラゴンボールZ」になってしまいにはスーパーサイヤ人だの(もうそこまでくるとおばちゃんの私はよく知りませんが・・・)天下一武道会の頃とは比べ物にならないぐらいものすごい対決になっているようなもんです。

抗生さんと細菌一族の戦い、どちらが勝つと思いますか?現段階では細菌一族の勝利です。今のところ抗生さんのどんな技や武器を持ってしても壊すことのできない「塀」をもった細菌一族が存在するのです。(「耐性菌」と言います。)最近、院内感染などで問題になっている「MRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌=メシチリンという強力な抗生剤でも効かないブドウ球菌)」などが代表的なものです。そのうちそれに対抗する抗生剤が開発される日もいずれ来るでしょう。でも、今度はそれを勝る細菌が現れ・・・細菌対抗生剤の戦いはエンドレスなのです。どんな強力な抗生剤を作っても、細菌はそれに対抗して進化し続けるのです。

<抗生物質使用の注意点>

ここまで話したところで、抗生物質の使用の問題点をお気づきいただけましたでしょうか。先に述べたように抗生物質を一度や二度使用すること自体は動物の体にはさほど問題はありません。(抗生剤自体にアレルギー反応を起こす場合を除きますが。)でも、抗生物質を多用することは体内にどんな抗生剤も効かないスーパーサイヤ人的な細菌を作ってしまうことになるのです。そうなると敵のいなくなった細菌はどんどん数を増やし体の中に帝国を作ってしまい、ついには命に関わるようなことになってしまうのです。

もうひとつ、抗生物質を使用することにより副作用の心配も皆無ではありません。副作用といってもいろいろですが、一番多いのが下痢だそうです。なぜ抗生物質を飲むと下痢になるのでしょう?

動物の体内にもいろんな細菌が存在し、それぞれうまくバランスを保って体の調子を整えています。腸内にも善玉菌という「細菌」がいます。善玉菌は食べ物の消化・吸収を促進したり免疫力を強化したりする重要な役割をしているのですが、抗生剤により病原菌だけではなくその善玉菌である「細菌」までも殺してしまうのです。そのため腸内環境が悪くなり、抵抗力が弱まって下痢などを引き起こしてしまうのです。その他、抗生剤の種類によっては血液を造る細胞に悪影響を及ぼすものもあります。

抗生物質は正しく使用すれば、病原菌をうまく殺してくれる素晴らしい薬です。しかし、先に述べたように多用しすぎると効かなくなる可能性があります。予防目的などで頻繁に使用することは避けて、本当に必要なときにだけ使用するようにしたい薬ですね。

もうひとつ注意点として、病院で処方された分量は必ず飲みきって、完全に病原菌である細菌を全滅させることが挙げられます。症状が治まったからと言って勝手に自己判断で処方をやめてしまうと、生き残りの細菌が再起をかけて反撃に出て猛威を振るうようになり、同じ抗生剤では効かなくなってしまうからです。

<私の所感>

抗生物質ってドラえもんみたいやな〜、と思いました。いわずと知れた国民的アイドル、いや今や世界中で大人気のドラえもん。子供のときは私もどれだけドラえもんがいてくれたらな〜と思ったことでしょう。(今でも『どこでもドア』は欲しいと思いますが。)でも、大人になってから大人の目線でドラえもんを見ると「ちょっと待てよ?それでいいのか、ドラえもん?」と思ったことはありませんか。

のび太君が困ったことがあるたびにドラえもんは様々な道具を出してのび太君を助けます。そのときは問題が解決して「よかった、よかった〜♪」ということになるのですが、のび太君は何かあれば「ドラえもんにお願いすればいいや〜。」と常に他力本願でなにひとつ自分で問題を解決していないのです。一度や二度ならいいのですが、毎度毎度のことになると自力で問題を解決できない人間になりドラえもんがいないと生きていけないということになります。国民的アイドルにけちをつけるのは気が引けますが、ドラえもんのしていることは結局はのび太君のためにはなっていないと思うのです。

同じように、本当に困ったときには抗生物質は大変心強い味方ですが、一度抗生物質で症状を抑えたら今度はそもそも病原菌をはびこらせない丈夫な体を作ることがやはり一番大事だと思います。


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コメント

1. 名前:おかあはん - 2006/09/25 11:02
福ママさん: なるほど、最近は子供に抗生物質をすぐに処方されることはないのですか。それはいい傾向ですね。「とりあえず抗生物質」という病院かそうじゃないかで病院(医者・獣医)の良し悪しを計るひとつの基準になるかもしれませんね。一見体に害はないのだから病院としても抗生剤を出せばそれだけお金になるわけですから。  そそ、飲み始めたら飲みきることは大事ですよ〜。何を隠そう、10年ほど前に自分が原因不明の皮膚病になって抗生剤を出され、薬嫌いで無知な私は症状が治まったのですぐに止めたんですけど、その後更にえらいことになった経験ありです(^^;)
2. 名前:おかあはん - 2006/09/25 10:48
eri.kさん: 幼き頃からのび太君の行く末を案じていたとはなんと先見の明のあるお子様だったのでしょう!(笑) 私は子供の頃はふつ〜にドラえもんが(というより、ドラえもんの四次元ポケットが・笑)欲しくてしょうがなかったです。でも、今から考えると「ドラえもん=喪黒福造」に思えてしまうのですが・・・(全国のドラえもんファンに怒られてしまうわっ。笑) 抗生物質で治る病気ももちろん多いので、できればここ一番のときにとっておきたいし「とりあえず抗生物質」っていうのには注意したいですね。「勉強になった」と言っていただけると嬉しいです!読んでくださってありがとうございました。
3. 名前:福ママ - 2006/09/25 07:58
抗生剤。 うちにはちびっ子が2人いますが、最近は(まっとうな)小児科にいくと、軽い鼻風邪程度では処方される事はありません。それは文太おかあはんの書かれているような理由からです。 本当の大病になったときにもし抗生剤が効かなかったら、それは大変なことですよね。元気な人ならなんでもない菌でも死んじゃうこともあるし。 うちの福ちゃんは今回抗生剤のお世話になっちゃいましたけど、飲み始めたらやっぱり先生の言うとおりに飲み続けた方がいいんですねえ。もう症状が治まってきているのでうっかり忘れそうになっちゃうんですよ。今朝も危なかった(笑)。携帯にアラームセットしとかねば! 次回も続きを楽しみにしています♪
4. 名前:eri.k - 2006/09/24 19:24
ドラえもんはデザインとしては大好きですが 幼い頃、私は本気でのび太君に腹をたてていました(笑)。 あんた、マジでろくな男にならないよって。 そんな私も、目先のことに気をとられるタイプです。 木を見て森を見ず… 最もよく指摘されるウィークポイントであります(-_-;) 「ローマは一日にして成らず」です。 ことわざ大会みたいになっちゃった。 いや、とにかく勉強になったですよ。

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